世界各国から現地のリアルな情報をお届けするアンバサダー発信。
9月のトピックは「危機一髪」です!
「海外移住」と聞くと、キラキラとした側面が思い浮かびがちですが、いろいろな悩みや苦労に直面します。
海外移住をしたアンバサダーの皆さんに、移住後にいちばん苦労した出来事とそこから学んだ教訓について語ってもらいます。
はじめに
タイ在住10年超で、不動産や畜産などを手掛ける会社を経営する田端です。
今回は危機一髪というテーマですが、タイ(バンコク)は東南アジアの中でも、比較的治安が良い国だと思います。
ただし、それはあくまで「危険な場所に行かない」「危険な人と仲良くしない」「危険なことをしない」という危機管理のいろはを守っていることが前提にあることは言うまでもありません。
ただ、気を付けていても予想外に巻き込まれるのが事件・事故というもの。私自身に加え、友人・知人、顧客らも何らかの被害にあっています。
ただ、私個人でいえば、危険(未遂)な目に合いかけても、致命的な問題に発展したケースはほとんどありません。
コツは非常にシンプルで、とにかく正しい情報を入手することを心がけています。ある程度事前に危険を回避することができるので、うまくリスクを避け、想像通りの楽しいタイ生活ができています。
情報って難しい!!大切なのは一次情報
現代社会は情報に溢れています。インターネットやSNSからの情報は、簡単に苦労せず入手できますが、出所不明で真偽が怪しいものが多いのが実情です。
誰かが噂レベルで書いたものに、他の誰かが情報を追加し公開し、その情報にまた他の関係ない人が情報を足していく。
その繰り返しででき上った「信頼性のない情報」が、フィードに乗って人々の脳裏にしみこんでいきます。よほど自分で意識しないと、リスクに気付かず、うっかりそんな情報を信じて行動してしまう可能性があります。
このような情報社会であることに加え、外国に住んでいるという立場から、私が気を付けていることがあります。それは、
「自分が直接接した人や事実からの情報を優先的に信じる」ということです。
当たり前といえば、当たり前ですが、やはり誰かが発信した情報ではなく、自分が生身の人と接し、直接入手した情報というのは大切です。特に、海外で治安や安全面について生情報は必須といえます。
ただ、私は情報の精度を上げるため、ここに「複数の情報源から入手する」ことを心がけています。
ただ、直接情報とは言っても、「話を誇張する人」「嘘をつく人」「うわさ話を真実のように拡散する人」などはどの国にもいるので、複数人からの情報をベースに、最終的に自分の頭で判断することにしています。
これまでのタイ生活において、間違った情報を信じてトラブルに遭う人を多く見てきました。だからこそ、情報の裏どりをしっかりすることで、少しでもリスクを減らせるという実感を持っています。
繁華街でトラブル、カバンに麻薬も?!
ここからは具体的な被害の事例を紹介したいと思います。
まずは、バンコクの繁華街でのトラブルで刺された事件。犯行場所は、多国籍な人種や観光客らが集まるエリアで、非常に流動性があり、バンコクに長く住む人は訪れないところです。
実はすりやぼったくり、喧嘩が多発する治安の良くないエリアで、地元民なら寄り付きません。しかしネットで検索すれば、煌びやかな観光情報が多数掲載され、危険性やリスクに関する記載はほとんど見当たりません。
その結果、何も知らずに気楽に訪れた観光客が刺傷するトラブルに巻き込まれ、被害者になってしまいました。命に別状はありませんでしたが、楽しい旅が一変してしまったのは言うまでもありません。
同じ繁華街では、カバンに麻薬を入れられ逮捕されるという事例もあります。数週間も帰国できす、保釈金を支払い釈放されました。
ここはやはり危険のあるエリアであるという危機意識が希薄だったのではないでしょうか。自分自身で強く危機管理意識を持ち、それを継続することが何より重要です。
裏話として、被害者に直接話を聞いたところ、麻薬を入れた人物と警察がグルだった可能性があるそうです。嵌められたという考えた方が良いかもしれませんが、どちらにしてもわきの甘さは付け入られるということだと思います。
拉致監禁?!身代金1,000万円要求も
これは、一歩間違えば私も被害に遭っていた話です。これは日本に住む人物がバンコクで起こした事件ですが、友人を装って仲良くなり、ある程度関係を築いたところで拉致監禁するという手口でした。
この事件、実は私も犯人に誘われていました。なんとなく違和感を感じ、何度か断ったところ、脅迫電話がかかってきたため、その後一切のやり取りを拒否しました。
大きなニュースとなりましたが、当時はこんなことになるとは思っていませんでした。
ただ、やり取りの中で、「一般常識が通じない」「何の仕事をしているのかわからない」「コミュニケーションの違和感」などが引っ掛かりとなり、回避できたケースでした。
また、「わがままで仕事が長続きしない」「美人局(つつもたせ)詐欺をしている」などの情報を独自で入手し、自分の直感と整合性が取れず裏付けもとれていたことも大きかったと思います。
改めて、「自分の直感を信じること」と「自分で情報を取ること」の大切さを痛感した事件でした。
ネットに出ない詐欺情報、人脈作りで裏どり
実は、詐欺系(詐欺まがい)の情報は、ネットでなかなか入手出来ません。詐欺関連は立証が難しいうえ、被害者が泣き寝入りすることも多く、情報が拡散されにくい構造にあります。
だからこそ、現地で直接的な人脈を多く築いておくと、表に出ない情報が耳に入るようになります。これこそが危機管理の上で非常に重要な要素だと思います。
詐欺などをすぐに見破ることは、簡単ではありません。一見素晴らしいビジネスパーソンに見えても、過去にトラブルを起こしていたり、評判が良いお店が、実は反社会系だったりということも少なくはありません。
このような事例は表向きの情報だけを追っていても、なかなか本質にたどり着くことはできません。そのため、知らずにリスクに近づいてしまうのだと思います。そうならないために、日ごろから現地でしっかりと人脈作りを進め、信頼できる情報源を多く確保することが大切です。
住みやすいタイ、情報自衛を!
ここまで不安を駆り立てるような事例を紹介してきましたが、私が最後に強くお伝えしたいのは「タイはとても住みやすい国」ということです。
それでも強くお伝えしたいのは、タイはとても住みやすい国です。
各国の邦人居住数ランキングでは世界4位(約8万人)、都市別ランキングでは世界2位(約5万人)になっています。
タイは、美食で親日、住み心地もよく、ビジネス環境が整っており、日本人にとってこれほどまでに住みやすい国はありません。リスクはどの国、どの地域にもあります。
この素晴らしいタイであなたが被害者にならないように、自分できちんとした情報収集をすることをおすすめます。そして、タイに来る日本人が1人でも多く増えることを楽しみにしています。
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