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10月は、アンバサダーが今最も関心のあるトピックを自由に書いています。
住んでいる国も違えば、置かれている状況も異なるアンバサダー。
リアルタイムな関心事を語ってもらいます。
はじめに
ニーハオ。中国アンバサダーの吉岡です!
10月1日は中国の建国記念日。毎年1日から7日まで大型連休となります。
ようやく夏の暑さも過ぎ、気候も安定して晴日が続くため、中国では人気の旅行シーズンです。
私も今住んでいる広東省を離れ、幼少期住んでいた上海で国慶節を過ごすことにしました。上海人の幼馴染が多く居るため、軽い里帰りのようで待ち遠しい気持ちでいっぱいです。
さて、今回は中国の一大行事、国慶節の様子を皆さんにご紹介出来たらと思います。
赤一色の街中、真っ赤に染まる国慶節
毎年10月1日は、中国の建国記念日です。1949年、中国の建国の父である毛沢東により、中国人民共和国の成立が宣言されたことにちなんでます。
そのため、1日から7日まで、国全体が建国のお祝いムードに包まれます。家の外に出ると、駅やお店、街など至る所に国旗や赤提灯が飾られ、赤一色になります。
子供たちも中国の国旗の旗を持ち歩いたり、顔に国旗のシールを貼ったりして楽しんでいる姿をよく見かけます。
ちなみに、中国では赤色は共産主義を象徴する色です。また、とても縁起が良い色とされるため、多くのお祝い場面では赤色が使われます。
私の個人的な印象ですが、日本の建国記念日は派手さはなく、取り立てて国を挙げてお祝いするというムードを感じることはありません。
対照的に、ここまで賑やかに盛り上がる中国の建国記念日には、中国文化に慣れ親しんでいることもあるかもしれませんが、一種の新鮮さを感じます。
中国国旗、ポイ捨てで逮捕も?無料配布にご用心
上海の街中を散歩していると、無料で国旗を配る人を沢山見かけました。
私もお祭り気分を味わいたく、一本貰って帰ったのですが、「あんまりそういうのは貰わない方がよいよ」と中国の友人に咎められてしまいました。
詳しい訳を聞くと、中国では国旗に対する扱いがひときわ厳しいようです。道端にポイ捨てをすると法律違反になり、警察に捕まってしまうとのこと。安易な無料国旗は、貰わないほうが無難なようです。
中国共産党記念館、ディズニーランド並みの長蛇の列
上海には中国共産党の記念館がありますが、建国記念日はとりわけ多くの人で賑わっていました。
この記念館の正式名称は「中国共産党第一次全国代表大会会址」。1921年にこの場所で中国共産党の1回目の代表会議が開かれ、当時の会議室の様子や資料などを保存している記念館です。
多くの子供たちが赤ネクタイをして記念館を訪れていて、記念撮影コーナーには「I love China」や「祖国を祝福する」など、愛国精神溢れる言葉が沢山あり、中国の愛国教育への力の入れようを感じ取れる場所でした。
また、記念館のお土産には共産党関連グッズが多く置いてあり、ショップの賑わいは大変なものでした。
政治色強めの上海、友人は「抗日映画」鑑賞も
今回上海へ旅行をして、上海は、広東省以上に政治色が強い印象を受けました。
丁度建国記念日に重なり、街中に中国の国旗が飾られている様子と相まり、より顕著に感じた可能性もありますが、上海人の幼馴染と話をする中で、政治的な色合いが強い都市だと思う瞬間がありました。
中でも一番顕著に感じたのは、幼馴染が休日に共産党記念館や抗日映画を見に行くという話です。
今まで、広東省にいて、周りの中国の友人から一度も抗日映画(日本との過去の戦争を題材にした映画)を見に行ったという話を聞いた事がないうえ、深圳の映画館でもあまりこの手のジャンルを見かけたことがなく、驚きを隠せませんでした。
上海には多くの歴史的な建造物が多く、今でも昔他国との戦争の歴史を記録した博物館が保存されています。そのため、政治について触れる機会が多く、より人々の関心が強いのではないかと推察しています。
対して、広東省にも歴史的な建造物は沢山ありますが、どちらかと言うと商売文化がより強く、政治よりも、商売やお金についての拘りが強いように感じます。
広東省の友人と食事に行くと、1円単位まで割り勘をするのが通常ですが、上海の友人はあまり割り勘せず、ご馳走し合うことが多いのが実情です。
同じ中国ではあるものの、地域の雰囲気や文化が大きく異なり、それが人々の習慣や生活に顕著に表れます。他の地域に行くと、常に新しい中国を知ることができるので、とても楽しいです。
誤解を招いてしまうかもしれないため、一点補足すると、抗日映画を見る友人は、日本を嫌っているわけではありません。
むしろ日本へ何度も旅行へ行くくらいなので、かなり日本が好きだと思います。
そのため、「あえて抗日映画を観ているのではないか」と逆に気になったため、詳しく聞いてみたところ、特に抗日映画のジャンルに拘っているわけではなく、たまたまその時に上映されていたら観るくらいの気軽さのようです。
日本でいうと、「今日はホラー映画を見に行こう」ぐらいなライトな感覚なのかもしれません。
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