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4月のトピックは、「わたしにとって働くとは?」です。
新年度が始まる季節。初めて働き始める人も、転職先で新たな挑戦をする人も多い時期です。そんな節目に、世界各国で働くアンバサダーの皆さんに、「働く」ということが人生においてどんな意味を持つのかを聞いてみました。
Goedemiddag! オランダよりRikoです。
「働く」とは何か、「新人」のフェーズを終えて社会人5、6年目になると改めて考えさせられる定番の悩みです。
オランダ移住してから、「仕事はなにしているの?」「その仕事好きなの?」とよく聞かれます。その度に私は「好きではないけど、仕事だからしょうがない」と返答します。
仕事=収入源、それが私
人それぞれ仕事に求めるものは異なり、仕事を自己実現の手段にする人もいれば、仕事はただの収入源として捉え、好きではない仕事に1日8時間以上も費やす人もいます。
私は後者。仕事はただの収入源であり、決して今の仕事が天職だとは思ったこともありません。
なぜそういう考えになってしまったのか? ①日本の教育システムの問題、②生きるためにはお金が必要だから、③結局のところ性格、だと思います。
日本の教育システムの問題点
私が日本の教育システムに難があると思う理由は、「自分で悩んで、自分で選択し、自分で省察する」というトレーニングがないということ。
もちろん高校受験の際には行きたい高校を自分で選び、大学も自分で選択してそれに向かって勉強しました。ただ、初等・中等教育で上記のトレーニングがあったでしょうか? 実際のところは、全て線路のように行き先が決まっていて、言われるがままに小・中学校に通い、決められたスケジュールでそれぞれの科目を習い、高校、大学に進学したのも、それがスタンダードの道のりだと決められていたから。
そんな教育では、自分が何に興味があり、どんなことをしてみたいのか、ということを考える機会がありません。小学生から高校生まで、与えられるだけの教育をこなして、大学を選び、4年間のコースを終えたら新卒採用という日本独特の就職活動制度が待っています。
もちろんその間にやりたいことを見つけて、自分の好きなことを仕事にしている人もたくさんいます。ただどこかで、与えられた道を外れることは危ない、といった世間一般のスタンダードがあることは間違いではないでしょう。
日本独特の終身雇用契約という概念もまだ根付いており、一度会社に入ったらよほどのことがない限りクビになることもないし、キャリアも保証されて安全だといった保守的な考え方がまだ広くあるように感じます。
そんな私も、大学で将来何がやりたいのか見つけきれず、1年間オーストラリアにワーホリで行くも、そこでも見つけることはできませんでした。
新卒で金融機関に入ったのは、金融機関で働いていれば給料もいいし金融リテラシーもつくから悪くないだろうという考えから。なんて夢のない志望理由でしょうか。
生きるためにはお金が必要

そうは言っても、生きていくにはお金が必要というのは事実です。
オランダ移住してから、好きなことに向かって挑戦し、月々の収支がギリギリで生きてる人にたくさん出会いました。それはそれで一つの生き方であって、そういう人を見ていると時には羨ましいと思う時もあります。ただ私はそういう生き方は向いてないと思っています。
なぜか?どのくらいの収入があれば幸せになれるか、その基準は人それぞれ異なるからです。
これだけあれば自分は幸せになれる、という人もいれば、もっともっと稼がないと自分は幸せになれない、と思う人もいます。
私は、余暇の時間に旅行やショッピングなど自分の好きなことにお金を使いたいタイプ。だから私は好きでもない仕事を6年間も続けられるのであって、あくまで仕事は収入源として割り切っています。
もちろん、やってみたいことがなかったわけではありません。今こうやって自分の思っていることを文字にして発信することもその一つです。インテリアデザイナーになってみたいな、カフェを経営してみたいな、とか色々なアイデアはあったものの、現実的に考えてしまう自分がいるのも事実です。
収入は安定するのかな、途中で飽きたりしないかな? 勉強するにもお金と時間が必要だけど、将来成功するかもわからないことに対してそこまで投資できるのかな? こんな風に思いを巡らせているうちにふと現実に戻り、さあ今ある仕事をやろうと元に戻ってきます。
ただ、今後もしかしたらそれに向かって挑戦する時が来るかもしれません。それは自分ではわからないし、ふとした時にドライブがかかって決意する時が来るのが人生。
学歴、年齢、何も関係ない国=オランダ

オランダにいると、政府からの補助金が充実していて、キャリアについてかなりのんびり考えているオランダ人が多いなという印象です。
大学に行きたい人は行けばいいし、行かなくても十分幸せに生きている人はいっぱいいます。
30歳になってやっと定職につく人も多くいるし、クビになってもその後数ヶ月間は問題なく暮らしていけるほどの十分な保証が会社・政府から出ます。中にはフリーランスなのかバイトなのか派遣なのか、雇用形態も様々でとにかく自由な国(=自己責任)だなと感じることが多々あります。
日本のように貯金大国でもないので、貯金をしている若者はほとんど見かけません。
「毎日を楽しく今を生きる」といった生き方がベースにあるので、だからこそ自分が好きと思える仕事をする、という考えを持った人が日本人よりも多いのかなと思います。
そんな国で生活していると、どんな価値観を持っていても他人にジャッジされることはありません。
夢を持つことはいいことだし、将来設計を立てることも大事なこと。ただ、何でもパーフェクトにこなす必要もなく、時には何も考えずに今目の前にあることだけをこなしているだけでもいいと思えてきます。
今後同じキャリアで進んでいくのか、キャリアチェンジをするのか、今はわかりませんが、その時が来ればその時考える。それでいいのだと自分に言い聞かせて、今を楽しく生きています。
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