
世界各国から現地のリアルな情報をお届けするアンバサダー発信。
4月のトピックは、「わたしにとって働くとは?」です。
新年度が始まる季節。初めて働き始める人も、転職先で新たな挑戦をする人も多い時期です。そんな節目に、世界各国で働くアンバサダーの皆さんに、「働く」ということが人生においてどんな意味を持つのかを聞いてみました。
はろーぽ!フィリピンのヒデシマです。
新年度ですね!フィリピンでは4月にホーリーウィークという長期休暇があり、その前に仕事を終わらせようとバタバタしています。
今回は、そんな仕事=「働くこと」について考えてみました。
ズバリ、私にとって、仕事は趣味のひとつです。
そう言うと、「適当にやってるの?」もしくは、「のめり込みすぎてるの?」と驚かれるかもしれません。でも、そのどちらでもありません。そして、「趣味」と言えるようになったのは、実はフィリピンに来てから、割と最近のことですのでそんなお話をしたいと思います。
真面目モード全開の20代
私は新卒で日系メーカーに就職し、プロジェクトマネージャーをしていました。
「仕事を頑張ることが正義!」と思い、なんでも手をあげては「もっと仕事を振ってください!」と上司に掛け合う日々。自己啓発も大好きで、周囲の印象は「真面目」そのもの。
時にはからかわれて悔しかったけど、「真面目に頑張る」ことが自分の価値だと信じていました。
そんな私がフィリピンで働くことになったのは、20代のうちに一度は海外に出ておきたいという思いから。 まだ若く柔軟なうちに、自分の視野を広げたい! そう思い、上司に直談判の上、海外拠点に飛び込みました。
そんな中、出会ったのが今の夫。社内で、デキる人として知られていて、私にとっては尊敬できる先輩でした。
売上アップや、業務改善などへのあくなき向上心や探求心、そして実行力。何より平日の夜遅くでも週末でも仕事に取り組む姿勢を見て、「きっと、この人も私と同じように真面目なんだろう」と思っていました。
ある日、彼にとって仕事がどんな存在か聞いてみました。返ってきた言葉はなんと、「仕事なんて、ただの暇つぶし」。そんな軽い姿勢の人の方が、私より会社に貢献しているなんて……と正直がっかりしました。
でも、その言葉が私の転機となりました。
思い返せば、尊敬していた人たちは「真面目だから」ではなく、粛々と結果を出しているタイプ。
仕事を辞めたいと笑いながらも、品質問題のために昼夜働く人、晩酌を励みに営業で成果を上げる人、時短勤務で残業は一切ないのにフルタイムの人と同じ成果を出す人――。
仕事は自己実現ではなく、「道具」、「手段」として向き合っている人たちが多かったのです。
当時の私は、「仕事が好き」、「仕事を頑張る自分が好き」で、凝り固まっていたのかもしれません。
「ちゃんとしてるって何だっけ?」転機の30代
フィリピンで働いてみて、周囲の働き方に驚かされました。
基本的に時間にはルーズで、休み時間になる前から休憩したり、終業時間前にもう帰宅準備をしていたり、仕事中におやつを食べたり、月曜日は休みがちだったり、問題を知らんぷりしたり。 最初は「なんて怠慢なんだろう」と思っていました。
一方、定型業務の正確さ、迅速さ、レスポンスの早さなどは、全般的に能力が高いのも事実。議事録や変更点などについての証憑はきっちり残す、という少しAIめいたタスク・能力の傾向もあります。

一方で、自分を含め同世代以上の日本人は、時間は守るし、勤務態度は良いのですが、業務手順が無い業務も自己流でこなしたり、必要だと思えば勝手に業務範囲を広げたり、サービス残業をしたりと、仕事を自分で何とかしようとする、頑張る人が多いように思います。
でも、それが本当に正しい働き方なのか?と思うようになりました。
マニュアルのない仕事は属人化しやすく、サービス残業で無理を続ければ生活に支障が出ます。
私は、子どもが生まれたばかりで、いつかは別の国か別の会社に移る予定です。そんな私にとっては、「いつ引き継いでも問題ない」「私生活に支障を来さない」ことが重要です。
そのため、今はマニュアルのない仕事は効率化し、定型化した業務はフィリピン人スタッフに引き継ぐようにしています。
相変わらず、フィリピン人スタッフたちは時間にルーズです。でも、やって欲しいことはより早期に、期限付きで依頼すれば、ほぼ依頼通りに対応してくれます。そのため、それ以外の時間どう過ごしていようと気になりませんし、相変わらず仕事の速さには助けられてばかりです。
子どもが生まれた今は
「見た目の“働いてる感”と、成果は比例しない」
そう気づいてから、私の働き方は大きく変わりました。
子どもが生まれてからは、さらに時間に制限があるからこそ、やり方や働き方を見直すきっかけにもなりました。
そして、今、他の家事なり子供のことなりが生活の最優先の中で、自分の余裕を失わない範囲で夢中で取り組むもの、それが仕事の位置づけです。

前回の転職時、約半年間の無職期間があり、実家の家業や親戚の仕事を手伝ったことがありました。
会社員とは違う立場でも役に立てた実感から、会社員としても働けるし、それ以外でも仕事はできるかもしれないという自信につながったのです。もしかすると、今後は会社員としての時間をもう少し減らして、別の仕事を複数、“選んで”続ける生き方もあるかもしれません。
私は、いずれ日本に戻るなり、別の国に移る選択肢を取ると思います。でも、これまでの経験や気づきがあるからこそ、どこであっても無理のない範囲で、やってみたいことを、まさに趣味のようにして働き続けたいと思います。
コメントを残す