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4月のトピックは、「わたしにとって働くとは?」です。
新年度が始まる季節。初めて働き始める人も、転職先で新たな挑戦をする人も多い時期です。そんな節目に、世界各国で働くアンバサダーの皆さんに、「働く」ということが人生においてどんな意味を持つのかを聞いてみました。
インドに限らず、外国人が海外で働くには、現地の人と結婚している等の場合を除いては就職VISAが必要となります。その観点でいえば、「働く」ことは、インド生活に欠かせないもの。私は、一日の大半を費やすこの時間を、生きていくために仕方なくやるのではなく、「様々な経験を積んで糧にしたい」と考えています。
キャリアの再構築+経験値を増やす
海外転職・移住を考え始めた当初は、「キャリアの再構築」もテーマでした。
私は、いわゆる「新卒」での就職活動を行っていません。アメリカの大学に進学したため、卒業時期が日本の就職活動時期とあわず。
そのため「第二新卒枠」として、学生時代の事務系のアルバイト経験を活かして仕事を探した結果、卒業後の仕事は「派遣」での大学事務でした。その後、転職して、とあるNGO本部事務局で、フルタイムの契約社員としてプロジェクト管理や運営の仕事を数年続けました。
どの仕事も私にとって、大切な経験で、好きな仕事・職場でした。NGO本部のプロジェクト事務局での仕事は、企業、学校、地方自治体、保護者、学生と様々な人とかかわることができ、また一通りのビジネスマナーや文書の書き方なども鍛えてもらい、私のキャリアのコアになっていると思います。
できるだけ長くNGOでの仕事を続けていきたいと考えていた矢先、悲しいことに業務が縮小されることになり、転職せざるを得ない状況になってしまいました。経験を積んでいても、正社員で働いたことがない私の職歴では、自分が望む仕事につくことは非常に難しく感じました。
そんなときに、海外で新しい経験を積み重ねることでキャリアを再構築できるのでは?と考えました。当時アラサーでしたが、未経験の業種・職種へのチャレンジは、海外の方がハードルを低いのではないかと思ったことがきっかけで、海外転職・移住に焦点を定め、今に至ります。
仕事を探す際は、「自分が得意とする働き方や環境」を軸に求人をみていました。自分の経験や長所をいかし「経験値を増やすことができる」、「チーム・お客様に貢献し社会の役に立てる」、といったことをキーワードにしていました。自分でも欲張りだなと思いますが、日本から、インドでの働く場所を変えてからも、これは変わることはなく、自分が納得できる仕事や環境を求めました。
私にとって、仕事は「生活費を稼ぐ・その国で生きていくため」以上に、「自分の経験値を増やし、どこでも働けるように経験やスキルを身に着けていく」ことだと考えています。様々な経験ができ、得意なことを活かすことができる仕事は、貴重な生活の一部です。
大きな変化に直面して

実は、去年、一昨年と、これ以上海外での生活を続けられないかもしれない、と思う事態が起きました。
一つはEmploymentビザの更新がインド国内でできなかったこと。もう一つは「脳静脈血栓症」と診断され、治療や療養のため業務から2か月程離れざるを得ない状況になったことです。
海外はビザがないと働くことができないですし、これまで健康体で生きてきた自分にとって長期にわたって仕事から離れるのは不安で仕方がありませんでした。仕事から離れることで与える周囲への影響、病気による心身の変化、そもそも働き続けることは可能なのか?など次々と不安が押し寄せてきました。
そんなときに気づいたのは、いかに今の職場のチームと働くことが好きで、楽しんでいたかということ。この環境がなくなってしまうと想像しただけで、とても大きな喪失感を味わいました。
幸い周囲の協力により、働き続けることができています。また復帰できると分かった時は、心の底から嬉しかったです。
ビザ再取得のための一時帰国中や病気の入院・療養中は、チームのメンバーがそれぞれメッセージを数日毎に送ってくれました。段階的に仕事に復帰した時も、復帰を喜んでくれるメンバーが多いことに驚くと同時に、とても嬉しかったです。
「働かせてもらっている」立場を忘れずに

インドで働き始めもうすぐ8年がたちます。同じ環境にこんなに長くとどまるのは初めてのことです。
今までは「毎日いつ辞めるかわからない」からと、自分がいつ組織を抜けても、うまく組織が回っていくように考えて物事を進めていました。良くも悪くも自分の色を出さないように心がけて働いていました。仕事も働くことも私は大好きですが、どこかで、一歩ひいていたのだと思います。
しかし、7年というときを経て、今の職場に「居場所」ができていることに気づき、今度は「自分だからできることがあるのではないか」と思うようになりました。
これからも、いつどこで何が起き、この職場を離れざるを得ない事態が生じることも可能性はゼロではありません。それに組織で働く者として、私たちは替えのきく人材であることも意識しないといけない、とも思います。
それでも、不確実な未来を心配して対策するより、今の大好きなチームに私だからこそできる貢献が何かを考え、実行していきたいと今は思っています。
私が働き始めた当初、勤務先の日本人役員の方に「私たち外国人は、インドで『働かせてもらっている』立場であることを忘れずに」という言葉をいただきました。
インド人の同僚の仕事への態度や取り組み方を見ていると、つい溜息が出ることも頭を抱えることも多々あります。それでも様々な人の協力やサポートがあってこそ存在するこの仕事を得られたことへの感謝を忘れずに、働き続けたいと考えています(つい忘れがちになってしまうんですけどね)。
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