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◎現地採用ビザ、4月から取得ハードル高く=英国

外国で居住するために必須なのが、ビザ。海外からの安い労働力は、自国民の失業や経済力の低下につながる恐れがあります。こうした背景から、国がビザ発給を許可するひとつの基準が、年収額です。就労や教育、文化――あらゆる面で世界中の人々を惹きつけるイギリスも、4月からビザ取得の基準が一気に厳しくなりました。現地からのリポートです。

現地採用者VISA、最低年収基準額が1.5倍に

英政府は今月、就労ビザなどイミグレーションに関するルールの大幅な改定・変更を行った。現地採用者のビザを見ると、申請者の最低年収基準額がこれまでの5割近く上昇したため、雇用主側にとっての費用負担が増大。前月までの駆け込み雇用が急増した。今後はコスト増を懸念し、新たな採用に消極的になる可能性がある。急増する移民対策の一環だが、日本から現地就職を狙う求職者には採用ハードルが高くなったといえる。

「Skilled Worker Visa」は、現地採用者ビザとして知られる。欧州連合(EU)離脱後の労働者不足対策として、2020年12月に導入された比較的新しい就労ビザだ。最低年収基準額は2万5,600ポンド(約490万円)で、これまでの就労ビザと比べ低く設定され、ビザのスポンサーとなる雇用主側が歓迎されてきた経緯がある。

内務省によると、今回の変更では、この基準額が今月4日から3万8,700ポンド(約740万円)に引き上げられた。英政府はボートで違法に訪れる移民数の急増に手をこまねていたが、この大幅引き上げは、英国の労働市場に混乱をもたらすには十分だった。

雇用主側は、4月3日までに発行されたスポンサー証明書があれば、これまでの基準額で雇用できることから、申請が殺到。申請期間の長期化など事務作業の遅延が生じたという。今回の引き上げでは、高所得の高技能者には影響はないとみられるが、ジュニアクラスの現地採用を狙う求職者には求人の減少などが見込まれる。

 

家族ビザの基準も大幅引き上げ

また、配偶者などの家族ビザも基準が大きく引き上げられた。同ビザの最低年収額は、これまで1万8,600ポンド(約360万円)から、今月11日以降は2万9,000ポンド(約560万円)となる。当初は今春から現行の2倍以上となる3万8,700ポンド(約740万円)への大幅な引き上げが決まっていたが、大きな反発を受け、段階的な実施に変更した。

英国はm華やかなロンドン、金融街のシティーの印象などもあり、日本からの求職希望者も後を絶たない。今回のルール変更は、現地採用希望者にとって大きなハードルとなることは確実だ。ただ、ジュニア層は、日英両国が枠拡大を決めたワーキングホリデービザ(YMS)での就労が加速するとみられる。


							
						

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