それぞれの母国語が元の「マングリッシュ」
マレーシアアンバサダーの佐々木華江です。
マレーシアはマレー系、中華系、インド系等からなる多民族国家で国語はマレー語ですが、英語も第二言語として多く話されています。ほとんどのレストランで英語のメニューもありますし、マレー語を話せなくても生活する上で困った経験は、移住して10カ月経つ今のところありません。
ただ、完璧を求める人にはオススメできない環境かもしれません。 マレーシア人の多くはそれぞれのバックグラウンドの言語+英語のバイリンガルで、状況に合わせて言葉を使い分けていますが、やはり彼らもネイティブの英語話者ではないからです。マレーシア英語という意味で「マングリッシュ」という言葉があるように訛りもありますし、ネイティブの間でどんどん生まれる新しい表現を学ぶことができないというデメリットがあります。
マレーシア人は当たり前のように文化が混じり合った世界で生きているので、英語が話せるかどうかということより、相手と通じ合うことに重きを置いているように思います。なので、英語が上手く話せなくても、文法が間違っていても、耳を傾けコミュニケーションを取ろうとしてくれます。アジアで通じる英語を学ぶ、または欧米にいく前の足鳴らし、という意味では良い環境になるかと思います。欧米では英語が上手く話せないと厳しい態度をとられる場合も結構ありますから……。
私自身ももちろんネイティブではありませんが、アメリカ大学時代〜アメリカの会社で勤めていた頃に話していたような英語は封印し、マレーシア人と話す時にはあまり難しい単語や表現を使わずにシンプルにコミュニケーションをとることを心がけています。
子どもたちに教えたいのは「人と通じ合うこと」
私がマレーシアを5歳と1歳の2人の子どもの教育の場として選んだ理由は、「言語」そのものというより、そういった「態度・姿勢(attitude)」におけるコミュニケーション力をどんどん伸ばして欲しいと願っているからです。自ら進んで人に話しかける積極性や、恐れずに意見を交わす能力を高めること、また様々な文化を学び、尊重する心を持つことは、これからのグローバル社会を生き抜く上でとても大事な要素のように感じています。
実際に、現地の幼稚園と保育園に通いながら、多様なルーツをもつ友だちと楽しそうに遊んでいる2人の子どもたちは、ヒンドゥー教のお祭り「ディパバリ」、中国のお正月「旧正月」、イスラム教の断食明けのお祭り「ハリラヤ」のお祝いも経験しました。5歳の息子は当初、肌の色が違ったり、ヒジャブをかぶっていたりする先生や友達のことを疑問に思い、質問してくることが多かったのです。ところがこれらのイベントを通して理解を深めたのか、今となっては私が学校のイベントにお菓子を寄付しようとした際に「ハラル(イスラム教で許されたもの)の食べ物じゃないとだめだよ」などと教えてくれるまでになりました。
上記で述べたようなデメリットも懸念したことはありますが、「マングリッシュでもいいじゃない!できないよりはマシ!笑」と開き直りました。考えてみれば、ネイティブでも訛りの激しい英語はありますし、世界にはネイティブではない英語でコミュニケーションしている人の方が多いはず。
これからはグローバルサウスと呼ばれている国々が伸びてくる時代。完璧な英語を話すより、「人と通じ合うこと」がより重要視されるように思います。そして、英語だけでなく中国語やマレー語も同時に学べる点もマレーシアの魅力です。もしマレーシアに来たら、ぜひ多文化・多言語・エネルギッシュなマレーシア人との交流を思い切り楽しんでみてください。
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