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9月のトピックは「危機一髪」です!
「海外移住」と聞くと、キラキラとした側面が思い浮かびがちですが、いろいろな悩みや苦労に直面します。
海外移住をしたアンバサダーの皆さんに、移住後にいちばん苦労した出来事とそこから学んだ教訓について語ってもらいます。
はじめに
はろーぽ!フィリピンのヒデシマです。
今回は私のフィリピンでの危機一髪について紹介します。
それは、職場の人間関係トラブル。
実は私は、前職でコンプライアンス違反として現地社員から訴えられてしまったことがあります。
今回は当時を振り返りながら、フィリピンで働く上で気を付けていることをお伝えします。
「お昼何時から?」、追及の翌日から総スカン…
当時、私は、フィリピンにある十数人規模の日系企業の現地採用として働いていました。
以前も、数千人規模の日系メーカー企業で駐在員としてフィリピンで働いていましたが、当時と比べて大きく異なる社員の働き方に日々戸惑っていました。
例えば、
- 昼休みの前後30分ほど会社に帰ってこない
- 特に急ぎの仕事が無くても、自分たちの都合で勝手に残業をして残業代を稼ぐ
- 昼休み数十分前からお昼ご飯を準備する(お弁当を温めたり、デリバリーを頼んだり)
- 駐在員がいないと、それぞれの机から大声で世間話をし始める
メーカー勤務時代は、チャイムや監視カメラによる管理もあったため、こんなことはありませんでした。
また、メーカー勤務時は駐在員で、社員を管理・指導できる立場でしたが、この時は、いちローカル社員かつ、社歴も浅い。先輩にあたるローカル社員たちに注意できる立場ではありませんでした。
何度か上司に相談しましたが、上司からは「フィリピン人だから多少は大目に見て」と一蹴。モヤモヤする日々を過ごしました。
ある日、この日も社員2人が12時の休憩の数十分前からお昼を食べようと。我慢できずに、「お昼ご飯、何時からだっけ?」と声をかけました。
すると、2人は「12時からだけど?」と当然のように答えます。12時前なのにもう食べ始めていると指摘すると、「12時丁度に薬を飲まなければならないから、今お昼ご飯を食べなければいけない」と返答。
ムッとした私は、今まで気になっていた内容について、「これは何でやっているの?」「ルール違反ではないの?」と追及を始めてしまったのです。
今思うと大変厄介なことをしてしまっていました(苦笑)。
言いがかりをつけられたと感じた社員たちは、正当性を示そうと徐々に喧嘩腰に。最終的には口論になり、私自身も声を荒げてしまったのです。
その翌日から、その社員2名だけでなく、全フィリピン人から目も合わせず、口も聞いてもらえなくなりました。
更にはコンプライアンス部門に通報され、フィリピン人弁護士と面談する事態にまで発展……。
結果的に、無礼な態度については口頭とメールで謝罪していたので、ペナルティはありませんでした。
けれどその後1ヶ月、私はショックで会社に行けなくなってしまいました。
フィリピンで働き、フィリピン人の特性も多少なり理解していたという自負に対する自信喪失と自己嫌悪でした。
今は別の職場で同僚とも良好な関係で過ごしていますが、この出来事は今でも1番の失敗として記憶に残っています。
相手の職位で態度が変わる、ボス第一主義!
そんな経験から、フィリピンで転職する時と働く時に意識していることがあります。
まず、転職時。
職務内容や会社のビジョン、待遇など最低限の内容は一次面接や人材会社を通じて確認しますが、特に最終面接の際には、以下の点を直接確認しました。
- マネージャー職での募集であること
- 駐在員との関係性
- 職場の構成人員情報(ローカル社員の人数、年齢層、組織体など)
個人差はありますが、多くのフィリピン人は上司・ボス第一です。
語学留学や、旅行などで友人やお客さんとしてフィリピン人と接した方は、フィリピン人は親切でフレンドリーと思われるかもしれません。しかし、同僚として接する場合、印象は変わります。
日本人であれば、転職者に対して基本的には親切に接し、目上の人には敬語を使います。
けれどフィリピン人は、相手が年上でも、自分より職位が低いもしくは同等の場合、自分より後に入社した社員は下とみなし、ボスへの親切な態度と打って変わって、冷たい態度になります(笑)。
これは、一般的にフィリピンの人々は自分の待遇・給与を握っているボスの顔色が第一であるということに加えて、実はシャイな人も多く既存の人間関係を重視する傾向があるからです。外部からの転職者に対して、最初から自分たちのサークルに入れない排他的な面もあります。
ところがマネージャー以上の管理職、もしくは彼らのボスである駐在員の近くで仕事をする立場であれば、話は変わります。最初から敬意を持ってもらいやすく、転職者にとっては組織にグッと馴染みやすくなります。
もちろん、会社のカルチャーや組織規模によって程度は変わります。ただ、小規模だったり社員の勤続年数が長かったりする組織、もしくは大規模でも縦割りが厳格な会社であるほどこうした傾向が見られるようです。
私自身、前回の転職活動の際、各社の最終面接では、職場の雰囲気や、平均年齢などを確認。加えて前職であったフィリピン人とのトラブルなどを伝えて、こちらの懸念点も理解してもらった上で適正な仕事・職種に就けるように努めました。
最終的に、現在は職務環境に恵まれ、自分の仕事とキャリア開発に集中できています。
サボリ魔?信じて任せてたら嬉しい予想外が!
また、海外で働く上で意識しているのは、相手を国籍で決めつけないことです。
フィリピンにいると、日本人同士の苦労話として、「すぐサボる」、「男は女より仕事ができない、「責任感が無い」、時間・締切にルーズ」といったフィリピン人あるあるが話題に上がることが多いです。
正直ながら、全体的な傾向としては私も感じる印象です。
しかし、言わずもがな人それぞれ。それだけでなく、ある社員について周りからの評価と自分が感じる印象にも差があることがしばしばです。
例えば前職では、フィリピン人はすぐ諦めて責任感が無いから、顧客交渉は任せられないと考えられていました。ところが業務を明確化し、OJT(働きながらの指導)を通して段階的に業務を移管した結果、現地の社員に任せても十分うまく回ることもありました。
サボり魔扱いを受けていた社員は、なんと仕事量が少なかったために休みがち、休憩しがちだったことが判明。
信頼して責任のある仕事を与えると、休日出勤してくれるほどのやる気を見せてくれるように!周りからの評価に惑わされず、相手を信じて向かい合うことで、ポジティブな予想外に何度も遭遇しました。
どうしても、日本と全く同じ環境や人間関係ではいかないのが海外生活。
特に異なる環境や働き方に戸惑う最初の頃は、インターネットやフィリピン歴の長い日本人たちの意見を元に考えがちです。
それでも目の前の相手の国籍や働く国に関わらず、自分がどう判断すべきなのかを考える機会が多いのが海外生活かもしれません。今後も私の継続課題です。
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