
夫が日本、母子がマレーシアという「逆単身赴任」で教育移住を実現したもえこさん。移住して5年が経ち、当時6才と4才だった子どもたちは、今は11才と9才に。
連載3回目の今回は、マレーシアの学校選びについて振り返ってもらいます。
何歳から? どのくらいの期間? 何を学んでほしい?
一口に教育移住といっても、重視するポイントや予算によって選択する学校環境は変わってきます。
留学するならココ!という誰にでもおすすめの学校があるわけではありません。一例として、私がどんなポイントで学校を選んだのか、今はどんな課題を持っているのかお伝えします。
移住にかかった初期費用は?
まずは、教育移住をするにあたってかかる初期費用について。当時の支出を洗い出してみます。長女(6歳)はYear2(日本の小1相当)、長男(4歳)は幼稚園からのスタートでした。
・渡航費用:LCC往復3万円/人
・ホテル:3~4万円(コンドミニアムを契約するまで1週間滞在)
・コンドミニアムの初期費用:30万円(家賃3か月分、デポジットと仲介手数料含)
・子ども2人の学費:61万円(入学金、学費1年分、デポジット:長女36万円、長男25万円)
※入学時に学費の10%程をデポジットとして払います。退学時に返却されます。
・海外保険:50万円(家族3人の1年分)
・自家用車購入代金:110万円(保険、自動車税含)
※2019年当時のレート(1リンギット=26円)で計算。
事前に試算してみると、マレーシアでは長女を年間Rm13,500(約35万円)でインターに通わせられると知りました。日本では、長女の保育料が年間約80万円ほどだったことを考えると、そのお得感が最大の魅力でした。

カリキュラムも様々 学校の選択肢
長女の小学校は、英国式のカリキュラムを採用するインターを選びました。
マレーシアの学校の種類は多種多様です。
主な選択肢は、いわゆる現地校といわれるマレーシアの公立校・私立校、日本人学校、そしてインターナショナルスクールです。
インター校であれば、学校ごとに採用しているカリキュラムが異なります。
メジャーなのは英国式ですが、他にもカナダ式、アメリカ式、IB(国際バカロレア)などなど。採用しているカリキュラムが異なれば、もちろん学ぶ内容も異なります。大学進学に向けて取得していく資格試験も変わってきます。
また、同じカリキュラムでも、学び方のスタイルや校風はもちろん学校ごとに違います。家庭の教育方針とマッチするか、お子さんにとって居心地よく過ごせる環境かどうかを気にかける必要があると思います。
外国人生徒の受け入れに慣れているか否か、学習進度が適切かというポイントも要チェックです。
学費はいくら? ピンキリの世界
これだけ多様な学校があれば、学費もピンキリです。
年間400万円以上するような名門校と呼ばれる学校から、年間100万円以内で通えるところまで。ざっくり言えば、これは人件費による差です。外国人教師の比率が多いほど学費は高くなる傾向があります。ただ、高ければ教育の質が高く、安ければそうでないというわけでもないのが面白いところ。
長女の学費は当初、年間約35万円と経済的でしたが、これは小学部が新設されたから。第1期生としての入学でプロモーション価格だったのです。
しかし、学費の値上がりには要注意です。どのインター校も学年が上がるにつれて金額が上がる他に、1年に最大で10%ほどの学費の値上げがある可能性があります。長女の場合、2019年の入学当時に年間Rm13,500(約35万円)だった学費は、2024年度に同学年に入学しようとすると、なんとRm23,400(約81万円)に! 円安とのダブルパンチで2倍以上も値上がりしました。
インター校の教員を世界中から集めるためには、魅力的な給与を提示しないと難しいのでしょう。経済が成長しているマレーシアでは、給与も毎年上昇傾向です。値上がり分は、いい教員を集めるため、設備投資をするための必要経費に充てられているのだと理解しています。教育ビジネスを発展させていき、高所得の外国人家族を招きたいマレーシアの意図もあると思われます。

ネイティブ英語かマングリッシュか
せっかく教育移住するのなら、英語ネイティブの教師から学びたい! こんな風に考える方も多いかと思います。
私は、英語の発音はもちろん大切ですが、あくまでも一つの要素に過ぎないと考えています。
世界中の英語話者は約11億人。そのうちネイティブ話者は約3億人強、第2言語としての英語話者は約8億人だそうです。英語でコミュニケーションをする時、実はその相手に
とっても英語が第2言語である可能性の方が高いんですよね。
マレーシアにはいわゆる「マングリッシュ」と呼ばれるマレーシア訛りの英語もあります。マレー系、中華系、インド系などそれぞれの母語によるアクセントもあります。
そんな環境で生活していると、もしかしたらネイティブ発音を習得するよりも、いろいろなアクセントを聞き分けられる耳を養うことの方がいい経験になるのではと思っています。
我が子たちの場合は、担任は英語ネイティブの先生、副担任はマレーシア人の先生です。クラスメートの60%はマレーシア人、その次に中国、韓国、日本の東アジアからの留学生がそれぞれ10%強ずつ、そしてアジア以外(欧州、欧米)からの留学生が数%という割合で構成されています。今ではクセを感じない英語も、マングリッシュのどちらも喋れるようになっています。

いつから始める? 留学のタイミング
何歳で留学をするか? これも悩ましいポイントです。
難しいことを考えずに留学にトライできるのが、幼稚園から小学生低学年のうちかもしれません。子ども同士一緒に遊んだり、スポーツをしたりするうちに自然と友達になれたり、生活の中で英語習得していくことができるメリットがあります。
低学年のうちの方が学費もお財布に優しいです。ただ、英語環境に慣れた後には、母語の日本語との付き合い方を課題に感じる保護者の方が多いです。この点はよく考える必要があります。
小学校高学年から中学生くらいからのスタートだと、どれだけ英語を習得できるかは本人の努力次第の面が大きくなってくると思います。
また、英語「を」学ぶでOKなのか、英語「で」学んで各科目の成績も取れるように学力をつけていくのか、どこを目指していくのかで大きな違いがあります。
英語が思うように使えないうちは、意思表示ができない赤ちゃんになったような挫折感を味わうことも。思春期に入ると友達作りも複雑になってくるため、留学環境へ慣れるためのハードルが低学年の頃に比べて高くなってしまう可能性もあります。
ただ、日本語の基礎が固まっている点はメリットです。短期間の留学でもかけがえのない経験になりますし、長期で親子一緒に挑戦していくのも良いでしょう。
我が家の現在地点
我が家は、まずは2年くらいのお試しで…と長女が6才、長男が4才の時に移住を決断しました。
けれど、コロナ禍で思うように通学ができない期間を経て、せめて小学生のうちは…と引き伸ばして移住6年目に入ります。小学生のうちにのびのびと成長できたことには大満足ですが、長女がインター校でいう中学生(Year7)に入る年齢に差し掛かり、今後の学習面と金銭面での課題が浮き彫りになってきました。
ここに関しては、また別の記事でお伝えします。
次回は、マレーシアのインター校の様子がもっと具体的に分かるように、学校での学びやアクティビティの体験談、我が子の成長の過程などをお伝えします!
もえこさんの過去記事はこちら
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