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2月のトピックは、「価値観の変化」です。
海外移住をすれば、色んな発見があるはず。世界各国で働き、暮らすアンバサダーの皆さんには、どんな経験をして、どんな価値観の変化があったのでしょうか?
2014年7月にタイに移住してから、10年を超えました。振り返ると、日本にいた時と価値観が色々と変わったなと感じます。今日は3つの大きな変化を取り上げてみます。
一生懸命働くのが当たり前? 自責志向に
まずは働き方についてです。
私は、日本にいた時は典型的なブラック企業で勤めていました。起業した今思えば、良い意味で「たくさん働くこと」に慣れ、タイでも働いていける強いメンタルが育ったと思います。
というのも、私はマネジメントに注力して会社を運営するタイプではなく、自分自身を最大戦力として、可能な限り多岐にわたる業務・雑務もこなすタイプだからです。「ブラック企業慣れしたこと」は、今の働き方に役立っているなと思います。

ただ、起業当初は葛藤もありました。やはり理想とするのは、自分が働かなくても、会社のメンバーが働いてくれて、売上が出来ていくスタイル。特に、自立思考ができ、自走してくれるメンバーがいてくれればと願い、そのように育成しようとした時期もありました。
けれど私見ですが、タイ人のみならず、日本人以外の海外で働く人たちは、普通に採用すれば、ワークライフバランスを求めて働く人がほとんどです。自立思考・自走タイプの人は稀かもしれません。
ブラック企業でしか勤務経験が無かった当時の私にとっては、一生懸命働くことが当たり前、売上をあげることが当たり前で、それをメンバーと共有しようとしていました。けれど、それは自分の理想論を押し付けるだけで、メンバーに無理をさせていた時もあったのではないかなという反省があります。
経営者として試行錯誤するうちに、そんな無茶な価値観も変わりました。今では売上を作る仕組みを作れないこと、スタッフが結果を出す仕組みを作れないことも自分(経営者)の責任と、完全に自責思考に変わることができました。
メンバーの気持ち、タイ人の気持ち、日本人以外の気持ちをそれぞれ理解し、働いていくことはとても大切です。
日本とタイ ほどよく安定した生活
次は、生活面についてです。
タイに来たばかりの頃は、色んな場所に観光に行くなど、海外ならではの生活を楽しみ、毎日が刺激的でした。それはまさにタイに来る前に漠然と抱いていた海外で働くことへの憧れでもありました。
しかし、在タイ歴が10年も超えるとそんな憧れもなくなり、当たり前の日常を楽しめるようになりました。年をとってくると毎日が刺激的な生活だと疲れてしまうという面もあります。普通に働き、普通に食事を楽しみ、普通にスポーツを楽しむ。そんな日々を今は送っています。
タイは本当に日系企業が多く、仕事をしやすい環境があります。食事も日本食屋は星の数ほど。日本食材専門のスーパーやお店もたくさんあり、手に入らないものはないくらいです。

趣味としては、フットサルを週2回しています。毎回20-30人ほど集まり、9割は日本人です。
タイではさまざまな生活スタイルを選べます。タイ人の輪で生活したければ、タイ人の輪に入って生活できるし、欧米圏の人の輪に入って生活したければ、そういう人たちが集まるコミュニティーやエリアがあります。食事のスタイルも、タイ食・日本食・中華など希望に合わせて選べます

自分よりもずっと在タイ歴が長い日本人も多く、先輩達の知恵を借りて、医療や税金、グルメなど様々な分野での情報収集も容易です。
もちろんタイ特有の生活文化や考え方による難しさもありますが、程よく日本の生活も楽しむことができて、私にとってはこんなにも生活しやすい国が他にあるのだろうかと思うほど、居心地の良い国です。
組織・チームより自分の幸せ
最後に、考え方について。
日本人は本当に組織化された国民性や思考、文化を持っていると思います。一方で海外の多くの国は、個の幸せを重要視していると思います。
タイも個の幸せを重要視する国民性です。あくまで他人は他人、自分は自分と、人との線引きが日本人に比べ濃いように思えます。
日本にいた時は人と比べてどうか?組織の中ではどうか?友達と比べたら?…などという考えを無意識にすることが多かった気がします。
タイに来た当初は、タイ人の個人主義な考えや、自分と他人の線引きに戸惑いを感じることもありました。しかし「微笑みの国」と呼ばれるように、良い意味で自分を大切にし、自分が困らないことであれば、人に善意を向けて手助けしてくれる温かい国でもあると今は理解しています。
良い意味で自分をまずは大切にして、その上で人にも優しくできる国民性。日本の競争社会で作られた他人と比較する価値観は大きく変化し、良い意味で自分中心の価値観も持てるようになり、幸福感が上がったように感じます。

ここまで色々な価値観の変化を書きましたが、最後に一言でまとめると、「様々な価値観を許容して、自分の価値観の変化を肯定的に捉えること」が大切だと思います。
これはタイに限らず、どこの国で生活しても同じだと思います。そんな中でもタイは、日本の価値観を残しながら、楽しく生活できるので、心のバランスを取りやすい国なのではないかと思います。
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